ヨセミテにっき2

7/23
朝早く起きる。僕らと、コリアン軍団しかやはり起きていないようだ。彼らの中の日本語がちょっぴり出来る人の話だと、コリアンパーティーは三人(のちにガセ情報だと判明)らしく、今日FIXして明日すぐにアタックするそうだ。僕らと被ることはなさそうで安心した。コリアンより早く発ち、エルキャプ基部へ行くと、アメリカ人二人が取り付きへホールバッグを荷揚げしていた。やはりいくら?級とはいえ30キロ以上を背負ったまま登るのは厳しいだろう。僕らも荷揚げすることにした。途中からコリアン軍団も合流し、騒がしくなる。彼らは無線で連絡を取り合っており、終始「ピポパポ…」とうるさい。見ると5人いる……話が違うじゃねーか!アメリカ人が1P目を終えたところで僕らも登り始める。ヒアウィーゴー!
1P目:高橋
レッジまで行くのだが、アメリカ人は途中のボルトで1P目を区切っていた。



後続の韓国パーティー


2P目:高橋
振り子があるが、あまり振られないので、フォローの僕は安心。ルートが右上しているので、荷揚げの際にホールバックを補助ロープでゆっくり送り出さないと振られてしまうのだが、アメリカ人はそんなの関係ねぇとばかりに放り投げ、転がしまくっていた…。おかげで水が破裂して漏れたらしい、言わんこっちゃない。韓国人が、「水破裂してやんの!バカだねー」とばかりに手でバーン!のジェスチャーをしていた。



3P目:赤澤
C2+があるピッチだ。確かに小さいポケットみたいのが連続しており安心してカムを決めることが出来ない。こういうときはナッツのお力を借りるしかなく、極小ナッツ(3mmくらい)を使って突破する。何箇所かこういうポケットを切り抜けるとプロテクションが決められなく、フリーでしか行けないところが出てくる。5.7と書いてあるが、強風の中で滑る手で登るには相当しょっぱい。落ちる寸前といったギリギリのムーブで突破し、終了点へ。叫んじゃいました。荷揚げは相変わらず辛い。
4P目:赤澤
ここは振り子が1回出てくる。一番上の振り子の支点(リング)まで登りたいのだが、そこまで行くにはさっきよりしょっぱいフリーの部分を登らなきゃいけないので、1つ下の残置シュリンゲで振り子することにした。ビンビンにロープを張って右側の様子を伺うと、エイリアンを決められそうな穴ぼこがある。左足で突っ張りながら微妙なバランスのまま、黄エイリアンを決めて立ちこみ、その上のハーケンにアブミを掛けようとするが、エイリアンが外れて振り戻される。くそ!!気を取り直して再トライし、今度は成功した。アブミに全体重をかけると外れるので、なるべく壁に足を擦り付けたりしながら乗らないとダメだ。

その後、ホントはもう一度振り子をするのだが、面倒なので思いっきり手を伸ばして右のクラックにカムをぶち込み乗り移った。やっとこさ今回の目的地であるシックルレッジに到着。アメリカ人の荷物がデポしてあった。彼らは殆どフリーで登っているので早い。ひでさんも到着し、荷物をデポしてFIXしつつ降りる。



シックルレッジ 遠くから見ると鎌の様に見える

コリアンはエイドで着実に登っているもののやはり遅い。そんなんでノーズ登れんのかよ。下に降りて一息つき帰路を歩いているとさっきのアメリカ人がおり、「水1ガロン壊れちったから明日補充しないと、ハハハハ!」と言っていた。しかし、よくこの炎天下の中、上裸でいられるよ。僕らは先に戻り、シャワーを浴びて飯くって爆睡した。コリアンは僕らが寝るときまで結局戻ってこなかった。

7/24
レスト日である。13時間くらい寝て朝起きるとひでさんはすでにクエバンをこなしている。半端ねぇ…。コリアンは昨日の夜に帰ってきて、今日も朝早く出発したらしい。僕らはエルキャプ基部まで偵察に行く。コリアンのおばさんがいたので話を聞くと、アメリカ人はかなり上まで行っており、コリアンは1人降りるらしい。残った4人でこれから登るようだ。また驚いたことに彼らはポーターレッジ(垂直な場所でも寝れる持ち運び式地面)を持っているらしい。僕らと被ることも無さそうだし、問題ないなと思った。見るとシックルレッジの次のピッチをリードしているところだ。

今日は完全レスト日なのでやることはない。言い忘れていたが、僕は一昨日買ったナイフを昨日すでに無くしていたので、今日再び同じナイフを買う羽目になる。ガッデム…。明日はついにキャンプ4を去り、壁の中で生活しながらの登攀だ。がんばるぞい!