ヨセミテにっき1

前回の遠征と同じようにヨセミテで書いた日記をアップします。


7/19
再びヨセミテへ行ける日がついにやってきた。今回はノーズを登るのが最大の目標である。期間は二週間と短めだが、ヨセミテでの生活の要領は心得ているので濃密な日々が送れるはずだ。

見送りには後輩三人と彼女が来てくれた。他の部員、OBからも激励の言葉をもらっていざ出発!今回はサンフランシスコからレンタカーを借りてヨセミテに行く手筈だが、相変わらず英語の分からない僕らはテンパりながらも困難を切り抜ける。途中僕がパスポートが無いことに気づき、死ぬほど焦るが、空港のあちこちにかけずり回って置き忘れたパスポートを何とかゲットする。「ターミナル」の映画みたいになるかと思ったぜ。
アメリカで初めて運転する二人はビビりまくりながら道を何度も間違えながらも、およそ六時間ほどでヨセミテに到着。二年ぶりに見たエルキャプはやはりでかかったが、以前ほどの威圧感は感じなかった。

その日はカリービレッジで夕食をとり、バックパッカーズキャンプで寝た。明日はミドルカシードラルロックのCentral Pillar of Frenzyを登る予定だ。

7/20
時差ボケが上手い具合に調整されたのか、六時過ぎに二人ともさわやかに目覚める。とりあえずCAMP4の予約を取りにキヨスクへ行き、行列に並ぶ。一時間待ちテントサイトをゲット。さて、登りに行くかというところにピンポイントで雨が降り出した…。すぐ止んだものの厚い雲が広がっており非常に微妙な滑り出しとなった。とりあえず登ることにする。取り付きまでは道路から20分。1パーティーが先に登っているみたいだ。
1P目:赤澤
5.8〜5.9のハンドからフィンガージャム。これくらいが安定して登れる限界だなぁ。

2P目:高橋
5.9フィンガーの部分が核心で、ひでさんは1フォール。フォローで僕もトライするがかなりしょっぱい。指はかろうじて決まるが、フットジャムが決まらない…というかクラックが細くて足先が入らん。
3P目:赤澤
5.8ハンドジャムから5.7ルーフ、そして5.8オフィズス。このころには疲れてしまっていたので5.7ルーフでテンション。簡単なのだがとにかく1ピッチが長く疲れる。5.8オフィズスは不動沢で鍛えた僕らには優しかった。

4P目:高橋
雨がぽつぽつ来始める

5P目:赤澤
途中に5.9レイバックがあるらしく、恐れおののいていたが、それほどでもなかった。不動沢のスーパートゥルーパーの方がよっぽど恐ろしいレイバックだ。
無事完登できて嬉しい。フィンガーからチムニーまで変化に富んだすばらしいルートだった。核心は2P目だな。ひでさんと喜びラッペルして降りた。明日はエイドの練習だ

7/21
朝六時に起き飯食ってワシントンコラムへ向かう。サウスフェースは前回二回登ったことでアプローチは覚えていた。先に一人ソロで登っている人がいたが、足を捻挫したらしく、びっこを引きながら降りていった。大丈夫かな…。僕らはエイドクライミングの感覚を思い出しつつ登っていった。Kor-Roofというルーフは相変わらず風が強くフォローでユマーリングすると高速回転するのでマジ怖かった。5P目で振り子を練習するもやり方を間違えてんやわんやする。明日きちんと練習することにする。やっぱ実際やってみないと分からんものね。取り付きには17時くらいに降りた。今日も一日がんばって登ったよ。さすがに二日続けて激しく登ったので明日はレストだ。夕食をストアーで買うが、ひとつ思ったのはヨセミテにいる女の子はみんなカワイイということだ。なぜこんなに美人ばかりいるのか全く分からん。夕食はいつも道理サラダと巨大ドッグとバドワイザー。ワインも追加した。

7/22
体内時計のおかげで毎朝六時には勝手に目が覚める。昨日もそうだったが、ひでさんは朝からクエバンを解いていた。究極の文武両道である。おそらく、六年生のこの時期に地上何百メートルの大岩壁にへばりついている人は地球上にほかに存在しないだろうなと思った。今日やることは洗濯、買い物、ノーズ取り付きの偵察、振り子の練習である。やることは意外と多いが、ガチで登らなくてよいのが嬉しい。なんたって筋肉痛がかなりある。とりあえずヨセミテロッジでコーヒーを飲んでくつろぐ。その後、洗濯して、取り付きを偵察しに行った。ノーズの取り付きへ登るルートは3つあるが、僕らはⅣ級の登りがある右のルートにすることにした。そこには、明日からノーズにトライするというアメリカ人大学生が二人いた。彼らは明日シックルレッジより先に行ってしまうようなのでかなり早いパーティーのようだ。その後、買出しに行く。僕は成田空港でナイフを手荷物にしてしまい、取り上げられていたので、新しくナイフを買うことにした。17ドルのヨセミテナイフである。お土産ということにしておこう。夕方には、スワンスラブで振り子の処理の練習をした。途中来たおっさんに、主のご加護がありますように…と、祈ってもらいつつ、振り子をマスターする。今日はレスト日にもかかわらず、結構動いたので疲れた。しかしこんだけ準備しておけば登れない要素はない!キャンプ4にいる大人数の韓国人も明日からノーズを登るらしい。被らなきゃいいけど…。