8月13日〜14日

8月13日
10:00ユマーリング開始〜11:40 6P目〜17:00 8P目〜18:30Mammoth Terraces着〜20:00ハートレッジ着
ついに今日から実質のエルキャプの登攀が始まる。おとといのfixは無事残っていた。食料を盗られてからというもの、残置物への不安が倍増した。長〜いザイルをひたすらユマーリングしていく。僕が先に登る。ホールバックも無事あって安心。次にひでさんが登ってくる。さぁ、始めよう。
6P目:赤澤。ボルトの間をフリーでつなぎながら登る。最初のボルトにアブミをクリップするまでのフリーの部分で一回フォール。アブミと自分をつなぐデイジーチェーンで止まる。ちくしょー!もう一度。今度は左足の側面のフリクションを使って耐えて何とかボルトにクリップ。ふーっ、危ない。その後はボルトの架け替え。左にあるレッジにまたもやフリーでトラバースするのだが、ここはとてもいけそうになく(登れるかもしれないが落ちる可能性大)ひでさんにテンションしてもらって、振り子トラバースで突破。トライアングルレッジに着。当初は13日にここでビバークの予定であった。さらに先へ進む。
7P目:赤澤。ハンドクラックを直上後、フリーで左のクラックへ。5.8らしいのだがかなりしょっぱく、またテンショントラバースで抜ける。上のハング下まで。ランナーのとり方をミスり、メインロープが非常に重くなってしまった。もっとプロテクション少なめにするか、シュリンゲを介してとるべきだった。
8P目:赤澤。Half Dollarというでっかいフレークをしたからトラバースし、5.8のチムニーを登り、抜ける。荷揚げをチムニーの外から行うために、荷揚げ用ロープをチムニー外に出そうと頑張ったが無理。フォローのひでさんに任せることに。レギュラーの21P目のような失態はもう御免だ。無事抜ける。
9P目:高橋。
10P目:高橋。楽そうだった。Mammoth Terracesに着。めッちゃでっかいテラスだ。さすがマンモス。今日中にここからラッペルして下のハートレッジに行きたかったが、外人パーティーが下にいるためビバークすることに決める。が、休憩中に再び下を見ると彼らがいなくなっていた為、ラッペルすることに。
11P目:二回に分けて、50mロープ二本つなげてラッペル。重いホールバックを背負いながらのラッペルは辛すぎた。ハングの下に出た瞬間ひっくり返りそうになるが、全身全霊で腹筋に力を入れて耐える。雄たけびを上げながらラッペル終了。ハートレッジに到着。Great bivyとトポには書いてあり、確かに広いし、平らだ。しかし、大量に虫がいる。なんか小さいエビみたいな虫がウジャウジャいるのだ。寝るときもこの虫共のせいで非常に不快な思いをすることに。とにかくくすぐったいのだ。レッジの真ん中には外人パーティーのホールバックがデポしてあった。ハーフドームのときよりぜんぜん暖かく、寒いどころかむしろ少々暑いくらいだ。岩が暖かい。これで虫がいなければ最高なのに…。夕飯はヨセミテのストアーで買ったBP。色々な味があるがこれから壁のなかでは朝、晩全てこのBPである。水をケチって少なめにしたため、めっちゃ味が濃くなり結局水をたくさん飲んで消費する。ビバークの夜の星は綺麗だ。流れ星見放題。

8月14日
7:00登攀開始〜22:00 El Capitan Spire 着
5:30に起床の予定だったが、疲労で6:00過ぎに起きる。レッジの奥にあるクラックからスタート
12P目:高橋。フリーでクラックの下端まで上がり、エイドで進む。上のハングに到達後左にトラバース。結構苦労しているようであった。トラバース後、Lung Ledgeというレッジの右端まで。長いピッチで160’もあった。(1’(フィート)は30.48cm)
13P目:高橋。4級の簡単な登り。フリーでガシガシ登っていき、すぐに解除のコール。
14P目:高橋。ついに来た…。もっとも恐れていた5.9owである。昨日ひでさんがリードすると言ってくれたので安心してしまった僕であった。とはいえ、ビレイしてても緊張する。カムは最も大きいサイズである五番のキャメロットを2つと他に少しだけ持ち、ひでさんはリード振り子の後、ロープがすこしずつ出て行くのを見ながらビレイ。落ちないでくれ…。祈りながらずっと待っていると解除のコール!マジ!?越えちゃったよ!サラテの核心って色んな人に言われてた5.9ow越えちゃったよ!!すげぇよひでさん!と驚きながらユマーリングで後を追う。これが噂のホロウフレークか。と、目の前にしながらユマーリングし終える。感想を聞くと「恐るるに足らずだったよ。」と言っていた。マジか〜。とにかく抜けられて良かった。この瞬間サラテ完登できるぞ!という自信が沸いてくる。
15P目:高橋。5.7チムニーの後5.7のフェース。やはりチムニーの外で荷揚げしようとするがうまくいかない。チムニーにホールバックがはまらないようフォローの僕が必死にディフェンス。
16P目:赤澤。簡単なC1のピッチ。あまり登らないうちにボルト2つのビレイ点が出てきた。トポを確認するが、16Pの途中にボルトは無い。ここが16P目終了点だろうと思い、fixし、荷揚げ。後々ここは16Pの途中のボルトステーションであり、トポにも載っていないことに気づく。15.5P目をリードし、真の16P目終了点へ。
17P目:赤澤。真上に見えるThe Earという巨大フレーク(それともハング?)下まで。難しくない普通のC1のエイド。
18P目:赤澤。The Earのフレークの下端までとりあえずエイドで登る。暗い。洞窟みたいなところの天井の端までいく。フレークと壁の間の隙間をチムニーの動きで右にトラバースしていく。最悪に狭く、メットが引っかかって先に進めないためメットを脱ぐ。カム類などのギアもはずしたかったがもう遅い。右にトラバースする程狭くなり、ついに頭の向きを逆にすることもできなくなる。プロテクションはフォローのことを考えてとらなかったので落ちるわけにはいかない。左上に残置のカムが一個ある。あそこまで行けば休める…。必死に頭を横にずらしながら何とかそこまで行き、アブミをかけ少し休む。この後は上へ進む。やっと太陽が見え、抜ける。辛かったー!チムニーはこの暗闇を抜ける瞬間が最高にうれしい。フォローのひでさんはザックを背負いながらの空中ユマーリングのためかなり辛そうだった。ザックもホールバックのあとに荷揚げする。僕はこのピッチで疲れ果て、低血糖となり次のピッチをひでさんにお願いすることに。
19P目:高橋。150’と相当長いピッチ。ひでさんも疲れ果てたようだ。
20P目:高橋。すでに日没の20:30を過ぎた。このピッチを終えれば今日のビバークポイントであるエルキャプスパイアーである。途中にThe Alcove というビヴィもあるようだが、ひでさんは行けそうだったら最後までやっちゃうと言っていた。初の夜間登攀。ヘドラの明かりが2つ見える。どうやらトライアングルレッジに誰かいるようだ。またどこからか外人のコールも聞こえる。この近くで登っているようだがわからない。しばらくの後、ひでさんからコールがありユマーリングで後を追う。なるほど、The Alcove.。確かに洞窟のようなところだ。どうやらひでさんはエルキャプスパイアーまで言った模様。夜間登攀でチムニーを登ったのか…すごいなぁ。エルキャプスパイアーは四角柱みたいにそそり立っており、てっぺんが平なのでかなり良いビヴィだ。スパイアーと壁の間にチムニーがある。荷揚げでシュリンゲが擦れるため膝パッドを当てたらしいが、そのパッドが落ちる。ひでさんの身の回りの品の一つ目が消えた。チムニーの中にデポしてあるひでさんのギアを回収し、僕もユマーリングで上へ。重い、辛い。やっとの思い出到着。疲れすぎた。今日は本当に疲れた。しばらくの間、登攀具をそのままにして、ぼーぜんとする。明日片付けることとし、今日は飯食って爆睡。エビ虫が少しいるが、ハートレッジほどではないので結構快適に寝れた。はぁ…。まだ後二回もビバークすんのか…。