7月26〜27日 センチネルロック

7月26日
5:00出発〜8:30登攀開始〜21:00 9P目終了点
ついにセンチネルロックに登る日が来た。僕とひでさんがザックを担ぎフォローすることにする。水はプラティパス二つと1.5Lのポリタン一つ。合計6.5Lだ。浅井さんは2L持つ。ビバークを考えて少し多めに持った。アプローチは4マイルトレイルの途中からセンチネルの基部に向かって登る。踏み後はあるものの途中で道を間違えたのか、やばいフェースに出てしまう。このまま行くとしたら、上に見えるオーバーハングを越えないと基部には行けなそうだ。あんなの越えられるわけないやろ〜。と思っていたが浅井さんはリードで登りだした。プロテクションが全くとれなく、かろうじてナッツを2つセット。しかし1つはポロっととれた…。めちゃくちゃなランナウト。ボーゼンと見ているうちに浅井さんはハングしたまで行く。どうやら無理らしい。右下の方にトレースが見えるらしいのでそこまでラッペルすることになった。やばそうな岩角を支点にして浅井さんは降りてくる。この人と登るとい命がいくつあっても足りなそうだ。「命を大切にしないやつなんか、大嫌いだ!!」という某アニメ作のフレーズを思い出す。この人は相当嫌われることだろう。トレースをしばらく行き、取り付きに到着。
1P目:5.8owから5.8lb。いきなりつらい。ひでさんはいきなりフォール。この先俺ら大丈夫かな…。
2P目:簡単な登り。
3P目:5.7fingerから5.7ow。またもやオフィズスでつらい。ステックサラテはワイドクラックの山である。この後も何度もオフィズスやチムニーは登場する。
4P目:Wilson Overhangという5.10aのフレアードチムニーから5.8ow。ザックが引っかかり登りにくい。というかそれ以前に、僕らにはこんなとこフリーでは無理である。初のフォール。浅井さんにロープをfixしてもらい、シュリンゲでマッシャーを作り、突破した。
5P目:5.9squeezeからフェース。スクイズチムニーはザックが引っかかりまくり非常に登りにくい。何とか登る。はぁ、つらい…。
6P目:5.8+ow。このころになると飢えと乾きで疲れがもろに襲ってくる。またもやオフィズス。もう気合で這い上がるしかない。だがだんだんワイドクラックが上手くなっている気がした。
7P目:5.6squeeze。再びもがきながら這い上がる。全身の渇きでコンタクトが乾き、目が霞み始める。飲み込むつばも無い。
8P目:ピナクルの間のトンネルを抜け、クサリの支点でラッペルする。
9P目:5.9owから5.8lb。やっと半分くらい来た。だが後半は前半よりも厳しいという浅井さんの言葉を聞き、萎える。もう頑張るしかない。ひでさんのつらそうな顔は久しぶりに見た。
日没のため、今日は9P終了点のこの小さなテラスにてビバークとなった。15時間ぶりの飯であるパワーバーみたいなやつを食べる。人間結構食べなくても動けるもんだなぁ。僕とひでさんは完全に疲労困憊。浅井さんも疲れているだろうが僕らよりは全然元気そうに見えた。浅井さんは一眼レフカメラを持ってきており、取り付きやこのテラスなどで何枚か撮った。なんでも、撮った写真は自分が働いているクライミングジムに飾るのだと言う。しかし、この人はどんだけ体力があるのだろうか?いくら上手いとはいえ、今のところ全てリードし、ビレイし、オンサイトした。しかもランナウトの嵐だったにも関わらずである。この日のビバークはつらいものとなった。日中はくそ暑いヨセミテだが、夜から朝にかけては冷える。浅井さんは半袖のTシャツしかないので僕のクロロファイバーを貸してあげた。日の出の5:30までのおよそ8時間の間、身を寄せ合いガタガタ震えながら過ごす。座るくらいしかできないので寝れましぇん。ひたすら待ち、ようやく日の出。

7月27日
5:30登攀開始〜8:30TOPOUT〜9:30下降開始〜10:40 4mile trail着
10P目:5.9チムニー。ザックをレッグループにぶら下げて登る。朝からつらい。ひでさんも相当つらそうだ。ひでさんがセカンドで、僕がサードなので、つらいかどうかはひでさんのうめき声具合で分かる。今日は朝からうめいてる模様。
11P目:5.10bフレアードチムニー。絶対登れないと思ったが、ノーフォールで登れることができた。めちゃくちゃつらかったが。ここで暗い洞穴のような場所へ。日が当たらないというだけでうれしい。
12P目:The Narrowsという5.9squeeze。洞穴の上を見ると小さな割れ目しかないけど、一体どこから行くのかなと思ったら、この小さな割れ目を直上するようだ。浅井さんがリードで登る。「ファ○ク!!ビ○チ!!」などと雄たけびを叫びながらもがき、登っていく。そんなに狭いのか…。カムなどのガチャ類はレッグループに吊るしていた。続いてひでさん。いままでで一番つらそうだ。「うそ!?マジ!!?これ上がんの?」とか言いながらもがき登る。しばらく経ち、僕の番、日が暮れるまでにはここを突破したい。頼む、日よ持ってくれ!!中を覗くと予想よりは狭くなかった。少し安心。とは言えど狭い…。もがきながら突破!痩せててよかったー!浅井さんに「赤澤君チムニー上手いよね。」とほめられた。確かに以前よりチムニーが上手くなった気はする。
13P目:5.7チムニー。普通に突破。浅井さんにチムラーと言われる。
14P目:13Pと繋げたので覚えてない。
15P目:5.9owから5.7double ow。ダブルオフィズスでフォール。くそ!
16P目:ついにラストだ!簡単なフェースを登り、ついにTOPOUT!!あのスパっと切り立ったどデカいセンチネルの頂上に来たのだ。素晴らしい景色。浅井さんの一眼レフでパシャッ!よくやった。本当に頑張ったと思った。
下降開始。脆いガリーから沢沿いに降りていく。結構悪い。一時間半でトレイルへ。一気に緊張がほぐれた。途中の小川では水をガバ飲みしてしまった。キャンプ4に着いた直後二人ともベンチで気絶。疲れました。やはり飢えと渇きの中での登攀はつらかった。最後らへんはあらゆることにイラついていた。ステックサラテはほぼ日陰だが、それでも一人2Lは飲んだので日中ずっと日なたである壁では4L/人必要だと感じた。それと、浅井さんはやはりすごすぎる。16P全てリード、オンサイトし、テンションかけまくりの二人をビレイし、水も2L以内に抑え、ガレ場なども僕らより全然早く降りていた。神である。この後、シャワーを浴び、飯を貪り、寝た。明日はキャンプ4の滞在期限の一週間だ。1シーズンに一週間しかヨセミテにテントを張ることができないルールなんてばかげたルールなんだろう。こんなにスペース余ってるのに!とりあえず他のキャンプ場を探す予定だ。何とかしないとこの遠征の続行が危ぶまれる。結構不安。はぁ、疲れた。